ワサビに含まれる成分と認知症予防の効果について、ワサビが認知症予防に役立つかもしれない理由は、ワサビに含まれる特定の成分が、脳を保護する作用を持っている可能性があるからです。ここでは、ワサビの成分がどのように認知症予防に関わるかを説明します。
1. ワサビの辛味成分「イソチオシアネート」
ワサビの独特の辛味は、イソチオシアネートという成分によるものです。この成分には、抗酸化作用と抗炎症作用があるとされています。
- 抗酸化作用:これは、体の中で生まれる「活性酸素」という悪い物質から細胞を守る働きです。活性酸素が増えると、細胞にダメージを与え、脳の細胞も傷つけてしまいます。このダメージが積み重なると、認知症につながる可能性があります。イソチオシアネートは、活性酸素を減らして、脳の細胞を守る働きが期待されています。
- 抗炎症作用:炎症は、体がダメージを受けたときにそれを治す反応ですが、これが長く続くと脳に悪影響を与えます。ワサビの成分は、この炎症を抑える働きがあるため、脳を守り、認知症の進行を遅らせる可能性があります。
2. 6-MITC(6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート)
ワサビに含まれている特別な成分で、「6-MITC」というものがあります。この成分は、脳に悪影響を与える物質、特にアミロイドβというタンパク質を抑える働きがあると考えられています。
- アミロイドβとは?:これは、アルツハイマー型認知症の患者さんの脳に多く見られるタンパク質です。アミロイドβが脳にたまると、脳の神経細胞がダメージを受け、記憶力や判断力が低下します。6-MITCは、このアミロイドβの蓄積を減らし、脳を保護する効果が期待されています。
3. ワサビが認知症予防に役立つ可能性
ワサビを食べることで、脳を酸化ストレスや炎症から守る働きが期待されています。また、6-MITCという成分がアミロイドβの蓄積を抑えることで、脳の健康を保ち、認知症の予防に繋がる可能性があります。
4. 日常生活での活用
ワサビは、寿司や刺身に添えられることが多いですが、ワサビの風味を楽しみながら、これらの成分の恩恵を受けることができます。ただし、ワサビの効果だけで認知症を完全に防ぐことはできませんが、他の健康的な生活習慣と組み合わせることで、脳をより健康に保つ手助けになるかもしれません。
5.※注意 市販品の加工品ワサビについて
市販の練りワサビには、ワサビ特有の成分である6-MITC(6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート)が含まれている可能性はありますが、その量や効果は通常の生のワサビと比べると非常に少ないか、ほとんどない場合が多いです。その理由は以下の通りです。
6-MITCの発生メカニズム
6-MITCは、ワサビの辛味成分であり、ワサビの細胞が破壊されたときに生成されます。生のワサビをすりおろすと、細胞が壊れて、酵素の作用によってシニグリンという物質から6-MITCが生成されます。この生成過程が重要で、ワサビをすりおろしてすぐの状態が最も6-MITCが多く含まれています。
市販の練りワサビに含まれるワサビの量
市販の練りワサビの多くは、西洋ワサビ(ホースラディッシュ)やからし粉、着色料が含まれており、実際のワサビ(本わさび)の含有量は少ないことがあります。これは製品によって異なりますが、コストを抑えるために、本わさびが少量しか使用されていないことが一般的です。
加工過程での6-MITCの減少
市販の練りワサビは製造過程で加熱処理や保存料の添加が行われることが多く、これにより6-MITCの含有量が大幅に減少します。6-MITCは非常に不安定な化合物で、加熱や長期保存により分解されやすいため、市販の練りワサビに含まれる6-MITCの量は、生ワサビをすりおろした状態に比べて少なくなります。
代用品が多い場合がある
市販の練りワサビには、ホースラディッシュなどの代用成分が含まれることが多いため、実際にはワサビ特有の6-MITCが少ないことが多いです。これにより、本来期待される健康効果も限定的になります。
商品の成分表やラベルを確認し、「本わさび」や「Wasabia japonica」と明記されていたとしても、加工や保存によって6-MITCの含有量は減少している可能性が高いので、6-MITCの健康効果を期待する場合は、生のワサビの根本をすりおろして摂取するか、安定した6-MITC(ワサビスニフィルⓇ)が含有された製品(JIPANG JINGER WASABI)を摂取するのが最も効果的です。
まとめ
ワサビに含まれる成分は、脳の細胞を守り、炎症やアミロイドβの蓄積を抑える可能性があり、認知症予防に役立つかもしれないと考えられています。日常的に適量を楽しむことで、脳の健康をサポートできる可能性があります。ただし、疾患予防すべてに言える事ですが、必要な栄養素を摂るだけではなく、バランスのとれた食生活や運動などの総合的なアプローチが重要であることを忘れないで下さい。