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月桃は、部位ごとに違う?

月桃は、部位ごとに違う?

月桃は、部位ごとに違う?

葉・花・果実・種子・根茎、それぞれの特徴

月桃と聞いて、まず大きな緑の葉を思い浮かべる方は多いでしょう。ところが月桃は、葉だけでなく、花、果実、種子、根茎にも、それぞれ違った成分を持っています。同じ一本の植物なのに、使う部分によって香りも、含まれる成分も、研究されているテーマも違う――。今回は、月桃の5つの部位を、植物図鑑を見るような気持ちで訪ねてみましょう。

月桃の葉――沖縄の暮らしに最も身近な部分

月桃の葉は、沖縄で「ムーチー」と呼ばれるお餅を包んだり、お茶や香りの素材にしたりと、昔から暮らしの中で使われてきました。葉をこすると広がる、すっきりとした香りも大きな特徴です。

成分分析では、葉からフラボノイドやフェノール酸など、さまざまなポリフェノールが確認されています。精油成分として1,8-シネオールなどが報告されていますが、香りの組成は産地、収穫時期、抽出方法によって変わります。

月桃葉の乾燥粉末には食物繊維が多く含まれる分析例もあり、食品、化粧品、香りの素材など、月桃の中で最も幅広く利用されている部位です。

月桃の花――美しいだけではない、繊細な成分

初夏になると、月桃は白い貝殻のようなつぼみに淡い桃色が差した花を咲かせます。開いた花の内側には黄色と赤の鮮やかな模様があり、英語名「Shell ginger」の由来を思わせます。

花から得られる精油や抽出物については、香りの成分や抗酸化性のほか、メラニン生成に関わる酵素や、肌の構造に関係する酵素を対象にした試験管内・細胞研究が報告されています。

こうした研究は、花の成分にどのような特徴があるかを探る段階のものです。化粧品として人の肌に同じ変化が起こることを、そのまま示すものではありません。

月桃の果実――赤く熟す中に香りの成分

花が終わると、月桃には丸い果実が実ります。熟すにつれて赤橙色になり、やがて果皮が開いて、内側の濃い色の種子が見えるようになります。

果実から得られる精油は、葉とは異なる組成を持つことが報告されています。近年は、果実精油の成分や、微生物・炎症に関係する反応を調べる基礎研究も行われています。

さらに、果実精油を使った細胞・動物研究もありますが、いずれも研究段階です。「果実を食べれば同じ結果が得られる」という意味ではありません。

月桃の種子――果実の中で次の命をつなぐ部分

赤い果皮の中にある黒褐色の種子は、次の月桃を育てるための大切な部分です。乾燥した種子は、地域によって香りの素材や伝統的な利用が伝えられています。

種子には、葉や根茎とは異なる量と組み合わせのカバラクトン類や精油成分が含まれることが報告されています。一方、月桃の部位の中では、種子の研究はまだ多くありません。

研究が少ないことは、価値がないという意味ではありません。これからどのような特徴が見つかるのか、余白の大きい部位ともいえます。

月桃の根茎――地中で株を支えるショウガ科らしい部分

土の中に広がる根茎は、月桃の株を支え、新しい芽を伸ばすための部分です。見た目はショウガに似ていますが、食用のショウガとは別の植物です。

月桃の根茎からは、フラボノイド、フェノール酸、カバラクトン類などが確認されています。特にDK、DDKと呼ばれる成分は、葉、花、果実、種子にも見られますが、その含有量は部位や抽出方法によって異なります。

根茎は伝統的に利用されてきた地域もありますが、現在の研究の多くは成分分析や細胞・動物を使った基礎研究です。

同じ月桃でも「どの部位か」が大切

月桃は、葉、花、果実、種子、根茎のどれを使うかによって、香りも成分も変わります。さらに、乾燥、粉末化、精油、エキスなど、どのような形に加工するかによっても特徴は異なります。

そのため、商品に「月桃配合」と書かれているときは、月桃のどの部位が、どのような形で使われているかを確認すると、その商品の考え方が見えやすくなります。

月桃を一つの成分だけで語るのではなく、それぞれの部位が持つ個性を知ること。それが、この植物の魅力をより深く知る第一歩です。

次回は、月桃を生かす「製法」の違いへ

同じ部位を使っても、熱水抽出、溶媒抽出、蒸留、乾留、粉末化など、製法によって得られるものは変わります。次回は、月桃の原料づくりと製法について、わかりやすくご紹介します。

※本記事は、月桃に関する成分分析や基礎研究を一般向けに紹介するものです。特定の製品の効能・効果を示すものではありません。

参考文献

Nishidono Y, Tanaka K. Phytochemicals of Alpinia zerumbet: A Review. Molecules. 2024;29(12):2845. doi:10.3390/molecules29122845.

Elzaawely AA, et al. HPLC-ESI-MS/MS Profiling of Polyphenolics of a Leaf Extract from Alpinia zerumbet. Plants. 2018;7(4):102.

Chompoo J, et al. Effect of Alpinia zerumbet components on antioxidant and skin diseases-related enzymes. BMC Complement Altern Med. 2012;12:106.

Hou J, et al. Chemical Composition and Potential Antimicrobial and Anti-Inflammatory Activities of Essential Oil from Fruits of Alpinia zerumbet. Molecules. 2023;28(21):7396.

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