「糖化」と「酸化」って何?

月桃粉末、もう一つの特許 特許第6347611号が示した、月桃葉のメイラード反応抑制活性と抗酸化活性 月桃葉乾燥粉末の特徴として紹介されている「強いメイラード反応抑制活性(ペントシジン生成阻害)」と「抗酸化活性」。言葉だけを見ると、何がすごいのか、私たちの暮らしとどう関係するのか、なかなか想像しにくいかもしれません。 白井松新薬株式会社が取得した特許第6347611号は、月桃葉を低温減圧乾留したあとに残る固形分について、こうした働きを試験管内で調べたものです。今回は、難しい言葉を一つずつ、身近な表現に置き換えてみます。 メイラード反応は、身近なところにもあります パンを焼いたときの香ばしい焼き色、玉ねぎを炒めたときの飴色。これらには、糖とアミノ酸やたんぱく質が反応する「メイラード反応」が関わっています。料理では、おいしそうな色や香りを生み出す大切な反応です。 一方、似たような反応は、ゆっくりではありますが体の中でも起こります。余分な糖がたんぱく質などと結びつき、時間をかけて変化していくことを、一般には「糖化」と呼びます。その過程で生まれるさまざまな物質は、AGEs(最終糖化産物)と呼ばれています。 ペントシジンは「糖化の進み具合を見る目印」の一つ ペントシジンはAGEsの一種で、糖化反応によってたんぱく質同士が結びついたときにできる物質です。研究では、糖化がどの程度進んだかを調べる目印の一つとして測定されます。 「ペントシジン生成阻害」とは、このペントシジンができる過程を試験管の中でどのくらい抑えられたか、という意味です。難しい表現ですが、簡単にいえば「糖とたんぱく質の反応が進むのを抑える可能性を調べた試験」です。 もう一つのキーワード、「酸化」とは? 私たちは呼吸によって酸素を取り入れています。その過程で生じる活性酸素は、体内で必要な役割を持つ一方、増えすぎると細胞などに影響を与えることがあります。こうした変化が「酸化」です。 抗酸化活性とは、酸化につながる反応を抑える力を、決められた試験方法で測ったものです。今回の特許ではDPPHという物質を使い、試料がラジカルと反応する力を試験管内で評価しています。 特許の試験で、月桃葉はどう評価された? 特許では、月桃葉を35~40℃ほどの低温と減圧条件で乾留し、装置内に残った固形分を水、50%エタノール水、エタノールで抽出して試験しています。 その結果、月桃葉の50%エタノール抽出液には強い抗酸化活性が見られました。また、ペントシジン生成阻害試験では、月桃葉の50%エタノール抽出液と水抽出液の両方に強い活性が示されたと記載されています。 香りを取り出したあとの葉にも、捨ててしまうには惜しい成分が残っていたこと。そして、熱をかけすぎない低温減圧製法によって、その特徴を生かす方法が考えられたことが、この特許の興味深いところです。 糖化を防ぐ食品」と証明されたわけではありません ここで忘れてはいけないのは、これらが人を対象とした臨床試験ではなく、試験管内での評価であることです。特許取得は、発明の新しさや独自性が認められたことを示しますが、食品を摂ることで人の糖化や老化が防げると国が認めたことを意味しません。 当方で取り扱う月桃粉末も同じ低温減圧製法で作られていますが、1日2gを摂ることで同じ働きが体内で得られると断定できるデータではありません。試験管の中で見つかった可能性を、今後どのように人の研究へつなげていくかが次の課題です。 二つの特許が伝えている、月桃の二つの可能性 前回ご紹介した特許第6251848号は、筋力低下に伴う動作、つまり「動ける力」に注目した研究でした。今回の特許第6347611号は、糖化と酸化に関わる反応に注目した研究です。 研究の切り口は異なりますが、どちらにも共通するのは、月桃葉を低温減圧製法で丁寧に加工し、香りだけでは見えなかった葉の可能性を探っていることです。二つの特許は、商品そのものの効果を保証するものではありません。それでも、月桃という植物を感覚や伝承だけで語らず、試験方法を定め、数値で確かめようとしてきた歩みを示しています。 年齢を重ねることを、ただ避けるのではなく、毎日の食事、運動、休養を大切にしながら、自分らしく健やかに過ごす。そのために植物の可能性を科学の目で見つめることも、これからのエイジングケアの一つではないでしょうか。 参考資料 ・特許第6347611号『メイラード反応抑制機能または抗酸化機能を有する機能剤』(2018年6月27日発行) ・白井松新薬株式会社『製品情報|月桃葉』

年齢とともに気になる「筋力」

月桃粉末とダイナペニア研究 特許第6251848号が見つめたのは、筋肉の大きさだけではなく「動ける力」でした 以前よりも階段がつらくなった。何もないところでつまずきやすくなった。椅子から立ち上がるとき、つい手をついてしまう——。年齢を重ねると、このような小さな変化を感じることがあります。 病気とはいえなくても、筋肉や筋力は少しずつ変化します。白井松新薬株式会社が取得した特許第6251848号は、月桃葉を独自の低温減圧乾留法で加工した粉末と、加齢に伴う筋力低下との関係に注目したものです。難しい特許の内容を、暮らしに引き寄せて見てみましょう。 年齢とともに減るのは、筋肉量だけではありません 加齢によって筋肉量が減っていく状態は「サルコペニア」と呼ばれます。一方で、筋肉量だけでは説明しきれない筋力の低下を「ダイナペニア」といいます。 筋肉がどのくらいあるかと、実際にどのくらい力を発揮できるかは、似ているようで同じではありません。私たちの暮らしで大切なのは、立つ、歩く、階段を上る、姿勢を保つといった日常の動きです。特許が注目したのは、まさにこの「動ける力」でした。 特許第6251848号は、何の特許? 特許の名称に登場するのは「ダイナペニア抑制剤」です。有効成分として示されているのは、月桃の主として葉の部分、またはバラの主として花の部分を低温・減圧条件で乾留したあと、装置内に残る固形分です。月桃の場合は、その残った部分を細かく粉砕した月桃葉乾燥粉末が試験に使われました。 一般的な蒸留では香りを含む液体に目が向きますが、この特許で主役になったのは、蒸留後に残る植物の粉末です。香りだけではなく、葉に残る成分にも価値を見いだしたところが、この研究の興味深い点です。 試験で確かめたのは「踏み外し」と「立ち上がり」 研究では、後ろ脚を使いにくい状態にして筋力低下のモデルとしたラットに、月桃葉乾燥粉末を21日間与えました。そして、網の上を移動したときに足を踏み外す回数と、後ろ脚で立ち上がる行動を調べています。 その結果、月桃葉乾燥粉末を与えたグループでは、足の踏み外しが少なく、立ち上がり行動が多いという統計学的な差が確認されました。つまり、この試験では筋力低下に伴う行動の変化が抑えられた可能性が示されたのです。 「筋肉が増えた」という結果ではありません ここは、とても大切な点です。筋肉の重量については、対照グループとの間に統計学的に明確な差は確認されませんでした。特許の考察でも、筋萎縮そのものを抑えたというより、筋萎縮に伴う行動の低下に対して改善が見られた、と整理されています。 つまり、この研究から読み取れるのは「筋肉を大きくした」という話ではなく、「動くときの力の発揮や動作を保つ可能性」に注目した結果です。筋肉量だけでなく、実際の動きに目を向けているところに、この研究の面白さがあります。 これは、人で効果を確認した臨床試験ではありません 今回の試験はラットを用いた動物試験です。特許を取得していることは、発明の新しさや独自性が認められたことを意味しますが、同じ効果が人で確認されたことや、国が食品の効果を承認したことを意味するものではありません。 また、試験で用いた量を、そのまま人が摂る量に置き換えることもできません。当方で取り扱う月桃粉末も同じ低温減圧製法で作られていますが、1日2gの摂取によって人の筋力低下が改善すると断定できるデータではありません。今後、人を対象とした研究が待たれる段階です。 「動ける毎日」を考えることも、エイジングケア エイジングケアというと、肌や見た目の変化を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、自分の足で歩く、出かける、階段を上る、好きなことを続ける——。こうした力をできるだけ長く保つことも、大切なエイジングケアです。 月桃葉粉末の研究は、植物が持つ可能性を「動ける力」という視点から見つめた第一歩といえます。ただし、筋力を保つ基本は、無理のない運動、十分なたんぱく質を含むバランスのよい食事、休養です。月桃粉末は、それらに代わるものではありません。 伝統的に暮らしの中で使われてきた月桃を、現代の製法と科学で見つめ直す。そこから見えてきた「筋力」という新しいテーマを、これからの研究にも期待しながら丁寧に追っていきたいと思います。 参考資料 ・特許第6251848号「ダイナペニア抑制剤」(2017年12月20日発行) ・白井松新薬株式会社「製品情報|月桃葉」

ポリフェノールだけじゃない。

月桃粉末の意外な栄養成分 食物繊維60.3g、β-カロテン、ビタミンB1・B2——分析表から見えてきた、もうひとつの月桃の魅力 月桃と聞くと、まず思い浮かぶのはポリフェノールや独特の香りかもしれません。ところが、月桃の葉を乾燥させた粉末の成分表を見てみると、それだけではない一面が見えてきました。 目を引くのは、食物繊維の多さ。そしてβ-カロテンやビタミンB1、B2も含まれていることです。今回は、これまであまり紹介されてこなかった月桃粉末の栄養成分に注目します。 まず驚いたのは、食物繊維60.3g 今回確認した「ゲットウ乾燥物」の分析結果では、食物繊維は100g当たり60.3g。乾燥粉末の半分以上を食物繊維が占めるという結果でした。 食物繊維が多い野菜の代表として知られるごぼうは、生100g当たり5.7gです。数字だけを比べると、月桃葉の乾燥粉末は約10.6倍になります。思わず二度見したくなる差です。 食品・試料食物繊維条件月桃葉の乾燥粉末60.3g分析試料100g当たりごぼう5.7g生・可食部100g当たり 約10.6倍」には、きちんと理由があります ここで大切なのは、月桃は乾燥粉末、ごぼうは生の状態で比べていることです。生のごぼうは100g中81.7gが水分ですが、今回の月桃粉末の水分は3.2g。水分が少ないぶん、成分の数字は高くなります。 そのため「ごぼう10本分を食べるのと同じ」といった意味ではありません。また、粉末を一度に100g摂ることをおすすめするものでもありません。ここで注目したいのは、月桃の葉を粉末にすることで、植物の繊維質を捨てずに取り入れられるという点です。 実際に摂る2gでは、どのくらい? 分析表は100g当たりの数値ですが、月桃粉末は一度に100gを摂る食品ではありません。当方で販売している月桃粉末は1袋60gで、1日の目安は2g。約30日分です。 分析値を2gに換算すると、食物繊維は約1.2g、β-カロテンは約348μg、レチノール活性当量は約34μg、ビタミンB1は約0.009mg、ビタミンB2は約0.015mgになります。100g当たりの大きな数字だけでなく、実際に摂る量に置き換えて見ることが大切です。 にんじんを上回った、β-カロテン もうひとつ意外だったのが、鮮やかな緑色の粉末に含まれるカロテン類です。分析結果では、月桃葉の乾燥粉末100g当たりにβ-カロテン17,400μg、α-カロテン5,400μgが含まれていました。レチノール活性当量(ビタミンAとしての働きを示す換算値)は1,680μgです。 にんじん(皮つき・生)100g当たりのβ-カロテンは6,900μg、レチノール活性当量は720μg。100g当たりの数値では、月桃粉末のβ-カロテンは約2.5倍、レチノール活性当量は約2.3倍です。カロテンといえばにんじん、という印象を少し変える結果ではないでしょうか。 β-カロテンは、体内で必要に応じてビタミンAに変わる成分です。ビタミンAは、皮膚や粘膜、目の健康を保つために欠かせません。月桃の濃い緑は、こうした成分を含んでいることの表れでもあります。 ビタミンB1・B2も見逃せません 月桃粉末には、ビタミンB群も確認されています。分析値は、100g当たりビタミンB1が0.45mg、ビタミンB2が0.74mgでした。 ビタミンB1は、糖質からエネルギーをつくる過程に関わる栄養素。ビタミンB2は、脂質をはじめとする栄養素の代謝を助け、皮膚や粘膜の健康維持にも関わります。どちらも毎日の食事からこまめに摂りたい水溶性ビタミンです。 にんじん(皮つき・生)100g当たりでは、ビタミンB1が0.07mg、B2が0.06mg。単純な100g比較では、月桃粉末はB1が約6.4倍、B2が約12.3倍でした。ここでも乾燥粉末と生野菜の違いはありますが、ポリフェノールの陰に隠れていた月桃の別の魅力が見えてきます。 ポリフェノールだけで語れない、葉をまるごと粉末にする意味 月桃の研究では、抗酸化活性やメイラード反応に関する働きなど、ポリフェノールを中心とした話題が注目されがちです。白井松新薬の月桃葉乾燥粉末についても、こうした特徴が紹介されています。 一方、今回の成分表が教えてくれたのは、月桃の葉そのものが持つ栄養成分です。食物繊維、カロテン類、ビタミンB1・B2。抽出した一部の成分だけでなく、葉を乾燥して細かな粉末にするからこそ残るものがあります。 香りの植物、ポリフェノールの植物として知られてきた月桃。成分表を広げてみると、それだけでは語りきれない植物であることがわかります。 数字は「多い・少ない」だけで見ない 今回ご紹介した数値は、白井松新薬株式会社が日本食品分析センターへ分析を依頼し、2013年に測定された「ゲットウ乾燥物」の結果です。現在取り扱っている月桃粉末も同じ低温減圧製法で作られているため、その特徴を知るための参考成分値としてご紹介しています。 農産物を原料とする粉末は、品種、産地、収穫時期などによって成分値が変わることがあります。この数値はロットごとの保証値ではなく、同じ製法で作られた月桃粉末の成分を知るための目安としてご覧ください。 また、食品の価値は一つの成分や大きな数字だけで決まるものではありません。毎日の食事を基本に、どのような原料を、どのように加工し、どのくらい取り入れるのか。その背景まで知ることが、自然素材と上手につき合う第一歩です。 次回以降も、月桃の成分や製法、研究について、一つずつわかりやすくご紹介していきます。 参考資料 ・白井松新薬株式会社提供/日本食品分析センター「分析試験成績書」(試料名:ゲットウ乾燥物、試験日:2013年9月6日) ・白井松新薬株式会社「製品情報|月桃葉」 ・文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」ごぼう/にんじん

なぜ、低温減圧乾留法?

月桃粉末を生む、こだわりの製法 同じ月桃の葉を使っても、乾かし方や成分の取り出し方によって、できあがる原料の特徴は変わります。MAKISE LABが月桃粉末に選んでいるのは、白井松新薬の「低温減圧乾留法」です。低い温度と減圧された環境を組み合わせ、水や有機溶剤を加えずに植物を処理する方法です。少し難しく聞こえるこの製法を、台所での「煮出す」「乾かす」との違いから、やさしく見ていきましょう。 月桃粉末は「どのように作るか」も大切 植物を原料にする方法は一つではありません。お湯で煮出す熱水抽出、アルコールなどを使う溶媒抽出、香りの成分を集める水蒸気蒸留、植物をそのまま乾燥して粉末にする方法などがあります。 それぞれに得意な成分や用途があり、どれか一つがすべての面で優れているわけではありません。何を取り出したいのか、食品、化粧品、香料など何に使うのかによって、適した方法は変わります。 月桃は香りのある成分だけでなく、葉に残るさまざまな成分や食物繊維も持つ植物です。そこで白井松新薬では、「留出する成分」と、処理後に残る「乾燥物」の両方に着目した乾留技術を用いています。 乾留法とは?植物から揮発成分を取り出す方法 乾留(かんりゅう)とは、植物原料を装置の中で加熱し、原料から出てきた揮発成分を取り出す方法です。発生した蒸気を冷却すると液体として集めることができ、装置の中には水分が抜けた乾燥物が残ります。 白井松新薬の公式サイトでは、植物原料を減圧条件下で加熱し、成分を揮発させて取り出す製法と説明されています。また、乾留する条件を変えると、得られる成分や特徴も変わるとされています。 「乾留エキス」と「乾留後の粉末」は同じものではありません。前者は蒸気を冷やして集めた留出分、後者は装置の中に残る乾燥物です。今回の月桃粉末は、この乾燥物を活用した原料です。 なぜ「減圧」するのでしょうか 減圧とは、装置の中の圧力を通常より低くすることです。圧力が下がると水分などが通常より低い温度で蒸発しやすくなります。高い山ではお湯が100℃より低い温度で沸騰するのと、考え方は似ています。 この性質を利用すると、強い高温に長時間さらさなくても、植物から水分や揮発成分を移動させることができます。 低温減圧乾留法は、「低温だけ」「減圧だけ」ではなく、この二つを組み合わせることがポイントです。 低温で処理する理由――乾燥物も活用するために 一般的な高温の乾留では、処理後の植物が炭化し、黒い炭状になることがあります。一方、低温減圧乾留では、高温による植物原料への負担を抑えながら水分を取り除くことができます。 白井松新薬は、低温で乾留することにより、機能性成分を含んだ乾燥物も得られると説明しています。この乾燥物を粉末化したものが、月桃葉の低温減圧乾留粉末です。 「低温だからすべての成分がそのまま残る」という意味ではありません。植物成分は製造条件によって変化するため、どの温度・圧力・時間で処理するかという管理が大切になります。 水や有機溶剤を加えないという特徴 白井松新薬の乾留法では、成分を取り出すための水や有機溶剤などの溶媒を加えません。植物がもともと持つ水分を利用しながら、減圧と加熱によって処理を進めます。 これは「有機溶剤を使う方法が危険」という意味ではありません。食品や医薬品の製造では、用途に応じた溶媒が基準に沿って使用されています。低温減圧乾留法は、それらとは異なる考え方で植物を加工する方法です。 溶媒を加えず、乾留後の植物も粉末として活用できることが、この製法の特徴です。 月桃葉の香りと乾燥粉末 白井松新薬の月桃葉乾燥粉末は、月桃らしい香りを保持していることが特徴として紹介されています。香りの成分として、シネオールやクリプトンが挙げられています。 香りが残っていることは、この粉末の個性の一つです。ただし、香りだけで原料全体の品質や機能を判断できるわけではありません。原料となる月桃の産地や品種、収穫時期、製造条件、成分管理などを合わせて見る必要があります。 白井松新薬では、有機JAS認定を受けた琉球列島原産の在来種の月桃葉を使用しています。 特許は「研究成果の一つ」として見る 低温減圧乾留後の月桃葉乾燥粉末などについて、メイラード反応や酸化に関係する試験をもとにした特許第6347611号が取得されています。また、月桃葉乾燥粉末を含む筋力低下に関する特許第6251848号も公表されています。 特許は、発明の新規性や技術的な考え方が認められたことを示すものです。一方で、特許を取得していることが、サプリメントを摂った人への効果を証明するわけではありません。 本草ノートでは、特許の内容も研究情報の一つとして紹介し、製品の効能・効果とは分けて考えます。 素材と製法の組み合わせが、月桃粉末の個性になる 月桃という植物の名前が同じでも、使う部位、産地、品種、乾燥方法、抽出方法によって、できあがる原料は同じではありません。 有機JAS認定の琉球在来種の月桃葉と、低温減圧乾留法。この二つを組み合わせ、乾留後の乾燥物まで活用することが、MAKISE LABが使用する月桃粉末の特徴です。 「何が入っているか」だけでなく、「どのように作られたか」にも目を向けると、植物原料の違いがよりわかりやすくなります。 次回は、海外から見た月桃へ 沖縄では身近な月桃ですが、ブラジルをはじめ海外でも研究や利用が続いています。次回は、日本とは少し違う視点から月桃がどのように見られているのかをご紹介します。 ※本記事は、製造技術、特許および研究情報を一般向けに紹介するものです。特定の製品の効能・効果を示すものではありません。 参考資料 白井松新薬株式会社「私達のこだわり―乾留製法について」https://www.shiraimatsu.com/事業紹介 白井松新薬株式会社「製品情報―月桃葉」https://www.shiraimatsu.com/製品紹介 特許第6347611号「メイラード反応抑制機能または抗酸化機能を有する機能剤」

月桃は、部位ごとに違う?

葉・花・果実・種子・根茎、それぞれの特徴 月桃と聞いて、まず大きな緑の葉を思い浮かべる方は多いでしょう。ところが月桃は、葉だけでなく、花、果実、種子、根茎にも、それぞれ違った成分を持っています。同じ一本の植物なのに、使う部分によって香りも、含まれる成分も、研究されているテーマも違う――。今回は、月桃の5つの部位を、植物図鑑を見るような気持ちで訪ねてみましょう。 月桃の葉――沖縄の暮らしに最も身近な部分 月桃の葉は、沖縄で「ムーチー」と呼ばれるお餅を包んだり、お茶や香りの素材にしたりと、昔から暮らしの中で使われてきました。葉をこすると広がる、すっきりとした香りも大きな特徴です。 成分分析では、葉からフラボノイドやフェノール酸など、さまざまなポリフェノールが確認されています。精油成分として1,8-シネオールなどが報告されていますが、香りの組成は産地、収穫時期、抽出方法によって変わります。 月桃葉の乾燥粉末には食物繊維が多く含まれる分析例もあり、食品、化粧品、香りの素材など、月桃の中で最も幅広く利用されている部位です。 月桃の花――美しいだけではない、繊細な成分 初夏になると、月桃は白い貝殻のようなつぼみに淡い桃色が差した花を咲かせます。開いた花の内側には黄色と赤の鮮やかな模様があり、英語名「Shell ginger」の由来を思わせます。 花から得られる精油や抽出物については、香りの成分や抗酸化性のほか、メラニン生成に関わる酵素や、肌の構造に関係する酵素を対象にした試験管内・細胞研究が報告されています。 こうした研究は、花の成分にどのような特徴があるかを探る段階のものです。化粧品として人の肌に同じ変化が起こることを、そのまま示すものではありません。 月桃の果実――赤く熟す中に香りの成分 花が終わると、月桃には丸い果実が実ります。熟すにつれて赤橙色になり、やがて果皮が開いて、内側の濃い色の種子が見えるようになります。 果実から得られる精油は、葉とは異なる組成を持つことが報告されています。近年は、果実精油の成分や、微生物・炎症に関係する反応を調べる基礎研究も行われています。 さらに、果実精油を使った細胞・動物研究もありますが、いずれも研究段階です。「果実を食べれば同じ結果が得られる」という意味ではありません。 月桃の種子――果実の中で次の命をつなぐ部分 赤い果皮の中にある黒褐色の種子は、次の月桃を育てるための大切な部分です。乾燥した種子は、地域によって香りの素材や伝統的な利用が伝えられています。 種子には、葉や根茎とは異なる量と組み合わせのカバラクトン類や精油成分が含まれることが報告されています。一方、月桃の部位の中では、種子の研究はまだ多くありません。 研究が少ないことは、価値がないという意味ではありません。これからどのような特徴が見つかるのか、余白の大きい部位ともいえます。 月桃の根茎――地中で株を支えるショウガ科らしい部分 土の中に広がる根茎は、月桃の株を支え、新しい芽を伸ばすための部分です。見た目はショウガに似ていますが、食用のショウガとは別の植物です。 月桃の根茎からは、フラボノイド、フェノール酸、カバラクトン類などが確認されています。特にDK、DDKと呼ばれる成分は、葉、花、果実、種子にも見られますが、その含有量は部位や抽出方法によって異なります。 根茎は伝統的に利用されてきた地域もありますが、現在の研究の多くは成分分析や細胞・動物を使った基礎研究です。 同じ月桃でも「どの部位か」が大切 月桃は、葉、花、果実、種子、根茎のどれを使うかによって、香りも成分も変わります。さらに、乾燥、粉末化、精油、エキスなど、どのような形に加工するかによっても特徴は異なります。 そのため、商品に「月桃配合」と書かれているときは、月桃のどの部位が、どのような形で使われているかを確認すると、その商品の考え方が見えやすくなります。 月桃を一つの成分だけで語るのではなく、それぞれの部位が持つ個性を知ること。それが、この植物の魅力をより深く知る第一歩です。 次回は、月桃を生かす「製法」の違いへ 同じ部位を使っても、熱水抽出、溶媒抽出、蒸留、乾留、粉末化など、製法によって得られるものは変わります。次回は、月桃の原料づくりと製法について、わかりやすくご紹介します。 ※本記事は、月桃に関する成分分析や基礎研究を一般向けに紹介するものです。特定の製品の効能・効果を示すものではありません。 参考文献 Nishidono Y, Tanaka K. Phytochemicals of Alpinia zerumbet: A Review. Molecules. 2024;29(12):2845. doi:10.3390/molecules29122845. Elzaawely AA, et al. HPLC-ESI-MS/MS Profiling ...

レスベラトロールを超えた?

月桃エキスと寿命研究――小さな線虫が教えてくれたこと 赤ワインに含まれる成分として知られる「レスベラトロール」。健康や老化に関心のある方なら、一度は耳にしたことがあるかもしれません。そのレスベラトロールと月桃葉エキスを比べた、興味深い基礎研究があります。研究に使われたのは人ではなく、体長約1ミリの小さな生き物「線虫」です。今回は、この実験で何がわかったのか、そして結果を見るときに何に注意すべきかを、できるだけやさしくご紹介します。 レスベラトロールとは?赤ブドウで知られるポリフェノール レスベラトロールは、ブドウの皮や赤ワイン、ピーナッツなどに含まれるポリフェノールの一種です。植物が紫外線や病原菌などの刺激から自らを守るためにつくる成分として知られています。 老化や健康との関係が注目され、細胞や動物を使った研究を中心に、世界中でさまざまな研究が続けられてきました。サプリメントにも利用されているため、「健康に関係するポリフェノール」という印象をお持ちの方も多いでしょう。 ただし、レスベラトロールについても、研究室で得られた結果がそのまま人に当てはまるわけではありません。研究の対象や摂取量などを確認しながら情報を見ることが大切です。 寿命研究に使われる線虫「C. elegans」とは 今回の研究に登場するC. elegans(シー・エレガンス)は、土の中などに暮らす体長約1ミリの線虫です。透明な体を持ち、寿命はおよそ2~3週間。体のつくりが比較的単純で、成長や老化の変化を観察しやすいことから、世界中の研究室で使われています。 人と線虫は見た目がまったく違いますが、細胞の働きや老化に関係する仕組みには共通する部分があります。そのため線虫は、「どのような成分が老化やストレスへの応答に関係するのか」を調べる最初の段階で役立ちます。 一方で、線虫で見られた変化が人でも同じように起こるとは限りません。線虫の実験は、人への効果を証明するものではなく、次の研究につながる手がかりを探す基礎研究です。 月桃葉エキスと線虫の平均寿命――22.6%という数字 2013年、月桃葉エキスを線虫に与え、その寿命やストレスへの反応を調べた研究が発表されました。通常の条件では、月桃葉エキスを与えたグループの平均寿命が、対照群より22.6%長くなったと報告されています。 この実験では、比較のためにレスベラトロールも使われました。研究論文では、月桃葉エキスのグループで見られた平均寿命の変化が、同じ条件で調べたレスベラトロールより大きかったとされています。 ここで大切なのは、「月桃がレスベラトロールより優れている」と一般化しないことです。あくまで、特定の月桃葉エキスを使い、線虫を対象に行われた一つの実験での比較です。抽出方法や量、対象が変われば、結果も変わる可能性があります。 暑さや酸化ストレスの中ではどうだった? 同じ研究では、線虫を高温や酸化ストレスのある環境に置き、生存の変化も調べています。月桃葉エキスを与えた線虫では、比較対象として使われたケルセチンよりも高い生存率が示されたと報告されました。 植物には、強い日差しや乾燥、外敵などから自らを守るためのさまざまな成分があります。月桃葉エキスに含まれる複数の成分が、線虫のストレス応答にどのように関わったのかは、今後さらに研究が必要です。 「過酷な環境でも粘り強く生きた」という結果は興味深いものですが、これも人の疲労回復や病気への効果を示すものではありません。 「レスベラトロールを超えた?」の正しい受け止め方 研究の見出しだけを見ると、「月桃を摂れば長生きできる」と感じてしまうかもしれません。しかし、今回わかったのは、線虫を使った実験で月桃葉エキスが興味深い変化を示したということです。 この先、人を対象とした研究へ進むには、安全性、摂取量、吸収のされ方、長期間摂った場合の影響など、多くの確認が必要です。だからこそ、現段階では「効果が証明された」と考えるのではなく、「さらに調べる価値のある可能性が見つかった」と捉えるのが適切です。 本草ノートでは、印象的な数字だけを取り上げるのではなく、その数字がどのような研究から生まれたのかも一緒にお伝えします。植物研究の面白さを楽しみながら、過度な期待につながらない情報発信を大切にしていきます。 次回は、月桃の「部位による成分の違い」へ 月桃は、葉、花、種子、果実、根茎など、使う部位によって含まれる成分が異なります。第3回では、同じ月桃でも部位によってどのような違いがあるのかをご紹介します。 ※本記事は学術研究の内容を一般向けに紹介するもので、特定の製品の効能・効果や、人の寿命延長を示すものではありません。 参考文献 Upadhyay A, Chompoo J, Taira N, Fukuta M, Tawata S. Significant Longevity-Extending Effects of Alpinia zerumbet Leaf ...

月桃は、どんな植物?

沖縄の暮らしから、世界の研究へ 「月桃」と聞くと、沖縄のお土産や、葉で包んだお餅「ムーチー」を思い浮かべる方が多いかもしれません。沖縄では昔から身近な植物ですが、近年はその香りや成分に関心が集まり、国内外でさまざまな研究が進められています。月桃には、私たちがまだ知らない魅力がたくさんありそうです。 月桃は、沖縄の暮らしに寄り添ってきた植物 月桃(げっとう)はショウガ科の多年草で、学名をAlpinia zerumbetといいます。沖縄では「サンニン」と呼ばれ、庭先や野山でも見かける身近な植物です。初夏には、白い貝殻のようなつぼみに淡い桃色が差した、美しい花を咲かせます。 葉にはさわやかな香りがあり、食べ物を包んだり、お茶や香りの素材にしたりと、暮らしの中で大切に使われてきました。葉だけでなく、花、種子、果実、根茎にもそれぞれ異なる成分が含まれることがわかっており、一つの部分だけでは語りきれない植物です。 なぜ、世界でも研究されているのでしょうか 月桃は日本だけでなく、アジア、オセアニア、南米など、温暖な地域に広く分布しています。ブラジルでは「コロニア」と呼ばれ、昔からハーブティーなどに利用されてきました。そのため、日本とは異なる視点からも研究が積み重ねられています。 これまでに、月桃に含まれるポリフェノールや精油成分をはじめ、葉、花、種子、根茎などの成分について、細胞や動物を用いた基礎研究が報告されています。2024年には、部位ごとに含まれる成分の違いをまとめた総説論文も発表されました。 「沖縄の植物」というだけでなく、世界のさまざまな地域で関心を持たれていることも、月桃の面白さの一つです。 小さな生き物を使った、興味深い研究 月桃の研究としてよく紹介されるものに、線虫の一種であるC. elegans(シー・エレガンス)を使った実験があります。線虫は体が小さく、寿命が短いため、老化やストレスに関する基礎研究で広く使われています。 2013年に発表された研究では、月桃葉の抽出物を与えた線虫で、平均寿命が対照群より22.6%長くなったと報告されました。同じ実験で比較対象となったレスベラトロールより大きな変化が見られたことも、研究者の関心を集めました。 ただし、これは線虫を使った基礎研究の結果です。人が月桃を摂ることで寿命が延びるという意味ではありません。研究の結果を正しく知るには、「何を対象に、どのような条件で調べたのか」を一緒に見ることが大切です。 昔からの知恵と、現代の研究 植物は、長い間使われてきたというだけで、すべてが科学的に証明されているわけではありません。一方で、昔からの使われ方が、新しい研究のきっかけになることもあります。 月桃についても、香りや成分、植物が自らを守る仕組みなど、さまざまな角度から研究されています。しかし、細胞を使った研究、動物を使った研究、人を対象とした研究では、それぞれわかることが異なります。 本草ノートでは、強い言葉で効果を言い切るのではなく、現在どこまで研究されているのか、そして何がまだわかっていないのかも含めて、わかりやすくお伝えしていきます。 月桃の魅力を生かすために大切なこと 同じ月桃でも、育った土地、収穫する時期、使用する部位、乾燥や抽出の方法によって、香りや含まれる成分は変わります。植物の魅力を生かすためには、原料の選び方だけでなく、どのように加工するかも大切です。 MAKISE LABが月桃に注目してきたのは、昔から親しまれてきた植物でありながら、現代の研究によって新しい一面が少しずつ見えてきたからです。月桃シリーズでは、成分、研究、製法など、月桃のさまざまな魅力をご紹介します。 関連製品:JIPANG Ginger Optimal MAKISE LABでは、有機JAS認定の琉球在来種の月桃を使用した「JIPANG Ginger Optimal」を開発しています。月桃原料は、素材の特徴を大切にするため、白井松新薬の乾留法によって加工されています。 本記事で紹介した研究結果は、月桃という植物に関する学術情報であり、特定の製品の効能・効果を示すものではありません。製品については、原材料や製法などの情報をご確認ください。 → JIPANG Ginger Optimalの詳細を見る[URL] 参考文献 Nishidono Y, Tanaka K. Phytochemicals of Alpinia zerumbet: ...

本草ノートとは?

自然の知恵を、現代の科学へ 「本草」とは、植物をはじめとする自然素材の性質を見つめ、人の暮らしや健康に役立てようとしてきた知の体系です。MAKISE LABの「本草ノート」では、その探求の精神を受け継ぎながら、植物素材と成分について、現代の研究をもとにやさしく読み解いていきます。 植物の知恵を、研究の言葉で読み解く 月桃(Alpinia zerumbet)、フェルラ酸、ザクロに含まれるエラグ酸、海藻由来のアスコフィランなど、植物や自然素材には多様な成分が含まれています。古くから利用されてきた素材の中には、現在、世界各地で成分分析や基礎研究、ヒトを対象とした研究が進められているものもあります。 一方で、研究論文に書かれている内容は専門的で、一般の方には読み解きにくいことがあります。また、研究段階で示された可能性と、実際の製品に期待できることは、同じではありません。 本草ノートでは、研究で何が報告されているのか、どのような条件で調べられたのか、まだわかっていないことは何かを整理し、できるだけわかりやすい言葉でお伝えします。 本草ノートで取り上げること これから本草ノートでは、植物そのものの特徴、含有成分、産地や抽出・加工方法、品質の見方、国内外の研究報告などを取り上げます。月桃をはじめ、生姜、わさび、ザクロ、海藻など、MAKISE LABが長年向き合ってきた素材についても、一つずつ掘り下げていく予定です。 細胞や動物を用いた基礎研究、ヒトを対象とした研究、臨床現場で得られた知見は、それぞれ意味が異なります。本草ノートでは、それらを混同せず、研究の種類や限界にも触れながら紹介します。 健康食品や化粧品に関する情報は、強い言葉ほど魅力的に見えることがあります。しかし、特定の効果を断定したり、医薬品のように病気の治療をうたったりするのではなく、素材を知るための情報として、穏やかに、誠実に伝えることを大切にします。 「本草」という言葉の背景 本草学は、植物を中心に、動物や鉱物を含む自然物の性質を調べ、分類し、暮らしに役立てようとしてきた学問です。その源流には、中国古代の伝説上の存在で、農耕と医薬の祖とされる神農(しんのう)の物語があります。神農は多くの草木を自ら確かめ、人々にその知恵を伝えたとされています。 神農の名を冠した『神農本草経』には365種の薬物が収められ、後の時代には李時珍による『本草綱目』へと知識が受け継がれました。これらは日本にも伝わり、江戸時代の本草学に影響を与えています。 ただし、本草ノートは古典医学や中国の薬草だけを紹介するものではありません。自然素材を観察し、記録し、確かめようとする姿勢を、現代の分析技術や研究と結びつけることを目指しています。 牧瀬クリニックと神農神との縁 牧瀬クリニックの近くには、神農神をお祀りする神社があります。牧瀬先生は折に触れて参拝し、医師として植物と人の健康との関係を長年考えてきました。 MAKISE LABが月桃、生姜、わさびなどの植物素材に着目し、製品開発を続けてきた背景にも、「素材の本質を見つめ、人の健康へつなげる」という姿勢があります。神農の物語は、その姿勢を思い起こさせてくれる大切な原点の一つです。 一冊のノートに記すように 本草ノートでは、伝承をそのまま効能として語るのではなく、現代の研究と照らし合わせます。わかっていること、可能性として考えられていること、今後の検証が必要なことを分けながら、一冊のノートに書き留めるように丁寧にお伝えしていきます。 植物の知恵を、現代の科学とともに。これが、MAKISE LABの「本草ノート」の出発点です。 次回:月桃(Alpinia zerumbet)第1回「日本ではまだ十分に知られていない月桃――世界で進む研究と、その可能性」